きっかけは、昭文社の株主優待で息子にプレゼントした一冊の鉄道本でした。

東京近郊の電車がずらりと紹介されていて、
息子は夢中でページをめくり、「ここ行きたい!次はこれ!」とリクエストの嵐。
こうして始まった“親子ローカル鉄道旅”は、前回の流鉄で大盛り上がり。
田園をゴトゴト、ディーゼルの揺れと夏空。
前回の鉄道旅は、流鉄流山線へ—“ちょっと遠い遠足”の入口にどうぞ。
写真多め/設備・アクセスもやさしく解説
そして今回選んだのは、首都圏では珍しい非電化のローカル線、関東鉄道竜ヶ崎線です。

駅ホームに立てば、電車のモーター音ではなくディーゼルエンジンの低いうなり。
発車すればゴトゴトとした揺れとともに田んぼや住宅街が窓の外を流れ、わずか7分間の小さな旅ながらも非日常の景色が詰まっています。
まで、実体験をもとに写真付きで詳しくご紹介します。
竜ヶ崎線ってどんな路線?

茨城県龍ケ崎市を走る関東鉄道竜ヶ崎線は、
佐貫駅(JR龍ケ崎市駅と徒歩連絡)から竜ヶ崎駅まで、
わずか4.5kmを結ぶ超短距離のローカル線です。


途中駅はなく、両端の2駅だけを往復するシンプルな構造。
最大の特徴は、首都圏では珍しい非電化ディーゼル路線であること。
ホームに立つと、電車特有のモーター音ではなく、低く唸るようなエンジン音が遠くから近づいてきます。
この路線の歴史は古く、明治33年(1900年)に開業した「龍崎鉄道」が前身。
当初から市街地と国鉄常磐線(現在のJR常磐線)を結び、地域の足として利用されてきました。
いまも通勤・通学利用が主ですが、短距離かつディーゼルカーという珍しさから、鉄道ファンや親子の鉄道デビューにもぴったりです。
実際に子連れで乗ってみた感想
今回は電車旅といっても、現地までは車で下道を約2時間。
高速を使わず、都心から郊外へ行く道中、
信号や町並みの変化を楽しみながらのんびりと進みました。
龍ケ崎市駅周辺には大小さまざまなコインパーキングが点在しており、料金は1時間100円、1日400円と驚くほど安い。
今回停めた駐車場は広々としていて、他の車もほとんどおらず、子どもを乗せたままのドア開閉も余裕でした。
すぐ近くにはヤオコー、ドン・キホーテ、ビバホームもあり、飲み物やおやつの補充も簡単。
「帰りにヤオコーに寄って夕ごはんを買って帰ろうか」なんて会話をしながら、関東鉄道佐貫駅へ。
運賃は、片道大人250円でICカードを使えば、243円です。

JR龍ケ崎市駅の改札を抜けて徒歩1〜2分、駅舎の屋根下に入ると、まず目に飛び込んできたのは梁に並ぶツバメの巣。

親鳥が何度も低空飛行でホームに舞い降り、ヒナにエサを与える様子に息子は夢中。
「あれ、赤ちゃん電車みたいだね!」と笑い、しばらく立ち止まって見入っていました。
やがて、遠くから「ゴウン、ゴウン…」という低い唸りとともに、青と白の塗装が鮮やかなキハ2000形ディーゼルカーがゆっくりと入線。
近づくにつれてホーム全体に振動が伝わり、ドアが開いた瞬間、ひんやりとした冷房の風と軽い油の匂いがふわりと漂ってきます。

車内に入ると、息子は何かを見つけて大きな声を上げました。
「これ、コロッケだよ!」——吊り革の一部が、竜ヶ崎市名物のコロッケ型になっていたのです。

思わず手を伸ばしてつかまり、得意げな表情。
こんな遊び心のある仕掛けがあると、子どもはすぐに“自分だけの発見”として楽しんでくれます。
座席は運転席すぐ隣の“かぶりつき”ポジションを確保。

発車の合図とともに車両がゆっくりと動き出し、窓一面に田んぼの緑が広がります。
住宅街を抜けると用水路やカカシが現れ、踏切を通過するたびに「カンカンカン…」という音が響きます。
夏の日差しが差し込み、窓からは稲の匂いがふわり。息子は終始前のめりで景色を追い、
「次はあっちの席も乗りたい!」と目を輝かせていました。

復路も同じ先頭を陣取り、線路の先を見つめながら、時折振り返ってニコッと笑う——
たった7分間の片道ですが、その短さが逆に“もう一度乗りたい”という気持ちを強くしてくれるようでした。
子連れでの注意点

竜ヶ崎線は短距離で混雑も少なく、子連れでも比較的安心して乗れる路線ですが、いくつか知っておくと助かるポイントがあります。
駅設備とトイレ事情
竜ヶ崎駅には駅から外へ出たところに新しく整備されたトイレがあります。
身障者用トイレにはオムツ交換台も備え付けられており、内装も清潔で、子ども連れでも使いやすい環境です。
ベビールームはないものの、駅構内は段差なく、ベビーカーでの移動もスムーズ。
佐貫駅側にも一般的なトイレはありますが、子連れ利用なら竜ヶ崎駅の方が安心感があります。
駅周辺の飲食・買い物事情

竜ヶ崎駅周辺は、昔ながらの住宅地が広がっており、飲食店やコンビニはほとんどありません。
昼食やおやつは乗車前にJR龍ケ崎市駅(佐貫駅)周辺で調達しておくのが鉄則です。
我が家も15時台に竜ヶ崎駅に着きましたが、駅前のお店はすでに閉まっており、次の電車までの待ち時間は外で景色を眺めるくらいしかできませんでした。
ベビーカーや荷物の置き場
車内は空いていることが多く、ベビーカーは端に置くと邪魔にならず安心です。
乗降口も広めなので、折りたたまずに乗せることも可能ですが、ステップがあるため注意が必要です。
夏場の車内環境
ディーゼルカーというと「夏は暑いのでは?」と思いがちですが、キハ2000形は冷房がしっかり効いています。
ただしホーム上では日差しを遮る場所が少ないため、帽子や飲み物の準備は必須。
待ち時間が長くなる時間帯は特に注意が必要です。
ダイヤと待ち時間

運行本数は1時間あたり3本程度ですが、時間帯によっては30分以上の待ち時間が発生します。
我が家は15:30に竜ヶ崎駅に着き、次の電車が16:11発だったため、その間は留置車両やバスの発着を眺めながら時間を潰しました。
事前に時刻表をチェックして計画を立てると、無駄な待ち時間を減らせます。
おすすめルートと撮影スポット
竜ヶ崎線は距離こそ短いですが、駅周辺や沿線に小さな見どころや撮影ポイントがぎゅっと詰まっています。
子ども連れでも移動が簡単で、しかも“撮り鉄”気分も味わえるルートをご紹介します。
JR龍ケ崎市駅からのアクセス

出発はJR龍ケ崎市駅。
改札を出て階段を降りると、徒歩1〜2分で関東鉄道佐貫駅に到着します。
エレベーターももちろん設置されています。
この距離感なら、ベビーカーや荷物が多くても乗り換えストレスはほぼゼロ。
改札間の屋根付き通路を歩く間に、頭上ではツバメが飛び交い、季節感たっぷりの歓迎を受けられます。
竜ヶ崎駅に着いたらホーム端へ

竜ヶ崎駅では、まずホームの端に立って留置線を眺めましょう。
そこには休むキハ2000形ディーゼルカーが並び、車両番号や細かな塗装の違いも間近に観察できます。
カメラを持った大人たちの横で、息子もスマホを構えて“なんちゃって撮り鉄”を楽しんでいました。
車両基地・関鉄バス営業所

駅を降りると、留置されている車両を近くで見ることができます。
この日は、ディーゼルエンジンの点検を行っており、大きな音を出していました。
また、駅前には関東鉄道バス営業所があり、色とりどりの路線バスが整然と並んでいます。
バスがエンジンをかけ、ゆっくりと道路に出ていく瞬間は、子どもにとっても大きなイベント。
電車とバス、二つの乗り物を一度に楽しめるのは、竜ヶ崎駅ならではです。


まとめ

関東鉄道竜ヶ崎線は、片道わずか7分というコンパクトな旅ながら、首都圏では貴重な非電化ディーゼル路線。
ホームに響く低いエンジン音、車体を伝うわずかな振動、車窓に広がる田園と住宅街のコントラスト——
そのどれもが、都会では味わえない非日常を運んでくれます。
短距離だからこそ、子どもが飽きずに乗り切れるのも大きな魅力。
行きの車内では竜ヶ崎市名物のコロッケ型吊り革を発見し、帰りは先頭席で景色をかぶりつき。
その間、ツバメの巣やカカシ、バスの発着など、小さな“発見”が次々と訪れ、親子で何度も顔を見合わせては笑いました。
駅や車内の設備は最低限ながら、駐車場の安さやJRとの乗り換えの近さは抜群。
竜ヶ崎駅前のバス営業所や留置車両、そして季節ごとに変わる田園風景は、短い乗車時間以上の思い出を作ってくれます。

前回訪れた流鉄流山線は昭和レトロな街並みと車両が魅力的でしたが、竜ヶ崎線はもっと“のどか”で“素朴”なローカル線。
同じ常磐線沿線ですので、2本を続けて巡れば、路線ごとの個性や沿線の空気感の違いまで楽しめます。
「次はどこに行く?」——帰り道の車内でそんな会話が自然に始まる、週末の小さな冒険。
竜ヶ崎線は、親子での鉄道デビューにも、日常から少し離れたいときにもぴったりの路線です。
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