関西圏を代表する私鉄「近鉄ホールディングス」から、2025年の株主優待が届きました。
封筒を開けると入っていたのは、近鉄電車に乗れる「招待乗車券」と、グループ施設で使える割引優待冊子。
一見地味に見えるこの優待、実は「長距離移動に使えば1枚2,000円超の価値」に化ける実力派です。
でも、関西以外に住んでいたら使いにくいのでは?
そもそも、今の近鉄株って“買い”なの?
本記事では、実際に届いた優待の中身・使い方・使える施設を写真つきで解説。
さらに、2025年6月時点の最新株価をもとに利回りを再計算し、近鉄株の“買いどきか否か”を初心者にもわかりやすく判断していきます。
株主優待投資を始めたばかりの方も、近鉄を長期保有候補にしたい方も、この記事を読めば「この株、保有するかどうか」判断できるはずです。
📦届いたのはこれ!近鉄の株主優待セットを開封
2025年6月下旬、ポストに到着!
中身を開けてみると、以下のような優待が入っていました。

🎫① 招待乗車券(近鉄線内で使える片道切符)

この券は、近畿日本鉄道の全線(葛城山ロープウェイを除く)で使える片道乗車券です。
片道1枚=大人1名分として使え、2025年12月末日まで有効。
つまり、100株保有で年8枚=最大16,000円以上の交通費節約に繋がる優待というわけです。
※ただし、特急列車には別途「特急券」が必要です。事前に駅やアプリで購入しましょう。
📘② 近鉄グループ優待冊子(ホテル・観光・百貨店などで使える割引券)
もうひとつの目玉は、近鉄グループの施設で使える割引冊子。

「何が何%割引になるか」は施設ごとに異なりますが、家族でのレジャーや帰省ついでの利用でも十分元が取れるレベルです。
冊子は年2回届くため、使う人にとっては“割引の宝箱”。
逆に使わない人にとっては「紙のゴミ」となりがちなので、後述の「向く人/向かない人」で解説します。
🚉どう使う?優待乗車券&割引冊子の使い方と注意点
届いた優待を見て「これ…どうやって使えばいいの?」と戸惑う方も多いはず。
この章では、「乗車券」と「優待冊子」それぞれの使い方、注意点、やってはいけない落とし穴まで、初心者向けに一気に解説します!
🎫1. 株主優待乗車券(招待乗車券)の使い方

この「招待乗車券」は、紙のきっぷを駅の窓口で渡すことで、片道分のきっぷと交換できるタイプです。
✅使い方の流れ(例:近鉄名古屋駅〜大阪難波駅)
- 利用当日に、有人改札または駅窓口で「株主招待乗車券」を渡す
- 係員が確認し、目的地までの「乗車券(片道)」を発行してくれる
- 自動改札ではなく、有人改札を通過して乗車
- 特急列車に乗る場合は、別途「特急券」購入が必要!(ネット予約 or 駅窓口)
✅知っておきたいポイント
項目 | 内容 |
---|---|
利用可能路線 | 近畿日本鉄道全線(葛城山ロープウェイを除く) |
有効期間 | 2025年12月末 |
誰が使える? | 名義記載なし/本人確認なし=持参人なら誰でもOK |
払い戻し | 不可(使わなかったら無効) |
有人改札必須 | 自動改札では使えないので注意! |
⚠️よくある落とし穴
- 特急料金が別なのを知らず、車内で精算→割高に…!
→ 事前に特急券を購入しましょう。ネット予約も可能です。 - 有人改札の場所が分からずウロウロ…
→ 駅員さんに「株主優待券を使いたい」と伝えればスムーズです。
📘2. 優待冊子の使い方と活用術

冊子の中には、以下のような割引券・クーポンが綴られています:
🎡使える施設(一例)
- 志摩スペイン村:入園料割引
- 海遊館(大阪):入館料割引
- あべのハルカス展望台:割引
- 都ホテルズ:宿泊代金の割引(電話予約時に優待利用を伝える)
- 近鉄百貨店:買い物割引 or 駐車場無料
- ゴルフ場・スパ・観光施設など:各種優待あり
✅冊子利用のポイント
- 券面に「有効期限」と「使い方」が個別に記載されています
- 基本は「提示して割引」「提出してサービス受ける」形式
- 宿泊系は予約時に「株主優待利用」と伝えておくのが無難です
- 1施設につき1枚利用。併用不可や土日除外もあるので事前確認を!
📦冊子の落とし穴
- 関西圏在住でなければ使える施設が限られる
- 内容をよく見ずに捨ててしまう人、多い(←これもったいない)
- 使用期限が短い割引もあるので、届いたらすぐ目を通すべし!
✅使う人は得しかしない」「使わない人には紙くず」
- 乗車券は“使える人が使えば1枚2,000円級”の実力派
- 冊子は人によって“金券の山”にも“ただの紙束”にもなる
- 自分の生活圏や旅行予定に合わせて、ちゃんと活かせるかどうかを見極めるのがカギ
📊2025年最新版の利回りを検証(株価下落で今が狙い目?)
2025年6月現在、近鉄ホールディングスの株価は2,652円(6月25日時点)まで下落。
今年3月には3,470円台をつけていたことを考えると、約▲23%の調整が入っています。
この“割安水準”をどう見るか──
優待+配当の総合利回りの観点から、投資判断してみましょう。
💰現在の株価・配当情報(2025年6月時点)
項目 | 数値 |
---|---|
株価 | 2,652円 |
100株の必要投資額 | 約265,200円 |
年間配当 | 1株50円 × 100株 = 5,000円 |
配当利回り | 約1.89% |
🎫優待の金銭換算価値
- 招待乗車券:年8枚(1回4枚 × 年2回)
- 名古屋〜難波など長距離移動なら1枚あたり2,000円相当
- 年間約16,000円分と仮定
- 優待冊子:各種割引券(価値換算が難しいため今回は除外)
🛒再販価格から見た“本当に使われている価値”
ネット上の取引では、以下のような実際の相場が確認できます
- ヤフオク
- 「近鉄株主優待」全体の平均落札価格:約14,960円
- 乗車券1枚:約2,100円〜「4枚セット」で約7,600円〜8,200円/8枚セットで15,200円など
- ラクマ/メルカリ:
- 乗車券4枚+冊子セット:約7,000〜7,300円前後
- 優待冊子単体は300〜600円前後で販売されています
- 買取店:
- 金券ショップなどでは、1枚あたり約1,600円〜1,700円
→これらの市場価格から、実際に「使える人」には優待の金銭価値はしっかり裏付けられていると言えます。
📈総合利回り試算(乗車券+配当)
項目 | 概算金額 | 利回り換算 |
---|---|---|
配当 | 5,000円 | 約1.89% |
優待(乗車券) | 約16,000円 | 約6.03% |
合計 | 約21,000円 | 約7.93% ← 高水準! |
※金額換算は実利用ベースであり、利用しない人にとっては“絵に描いた餅”なのでご注意を。
📉なぜ株価が下がっているのか?
- 国際物流事業の利益率低下(近鉄エクスプレスのコスト増)
- 景気敏感セクターへの逆風(金利上昇・原油高など)
- 年初の急騰からの反動売り(利確タイミング)
ただし、財務指標的には割安圏。
指標 | 値 |
---|---|
PER(予想) | 約10.5倍 |
PBR | 約0.93倍 |
→ 優待・配当狙いの長期保有には向いた局面とも言えます。
🏗️近鉄は今後どうなる?業績と中期経営計画から“伸び代”を読む
「株主優待は魅力だけど、業績は大丈夫なの?」
「営業利益率が鉄道業界で一番低いって聞いたけど、それって危険サイン?」
そんな疑問に、最新の業績データと経営戦略から真正面から向き合います。
📉実は業界最下位?営業利益率が低い理由とは
確かに、近鉄グループホールディングスの2024年3月期の営業利益率は約5.7%。
これは、私鉄大手(東急・京王・阪急阪神など)の中でも最下位レベルです。
ただし、これには理由があります。
▶️構造的な要因:鉄道以外の「収益が低い事業」が足を引っ張っている
近鉄は「鉄道だけの会社」ではありません。実際のグループ事業は以下の通り:
事業セグメント | 主な内容 | 利益率の傾向 |
---|---|---|
鉄道 | 近鉄電車(名古屋~大阪など) | 利益率15%前後と健全 |
国際物流 | 近鉄エクスプレス(海外輸送) | 利益率が低下中、利益圧迫要因 |
流通 | 近鉄百貨店など | 利益率が非常に低い(約1~2%) |
ホテル・レジャー | 志摩スペイン村・都ホテル等 | コロナ禍で赤字続き → 徐々に回復中 |
このように、“構造的に薄利な事業を多く抱えている”ことが、全体の利益率を押し下げているのです。
📈鉄道本体は堅調、旅客回復も追い風に
一方で、鉄道事業単体は堅調そのもの。
2025年3月期第3四半期の決算でも、旅客需要の回復によって鉄道部門の売上は増加基調を維持しています。
さらに、名古屋~大阪を直通で結ぶ利便性や観光路線としての強みもあり、
今後はインバウンド回復による乗客数増も見込める状況です。
📊直近決算(2025年3月期・第3四半期)サマリー
項目 | 数値 | 前年同期比 |
---|---|---|
営業収益 | 1兆3,034億円 | +7.1% |
営業利益 | 742億円 | −1.9% |
当期純利益 | 418億円 | +6.6% |
※営業利益が減少している理由は、国際物流(近鉄エクスプレス)のコスト上昇によるものです。
📌中期経営計画「VISION 2035」と「中期計画2025–2028」の中身
2025年3月、近鉄GHDは新たな長期戦略を発表しました。
🔷主な柱:
- 国際物流の完全子会社化と収益構造改革
- 利益率が下がっていたKWE(近鉄エクスプレス)を立て直す
- 不動産の回転型経営と資産効率化
- 資産売却益を活かした財務健全化+収益強化
- ホテル・レジャーの収益回復
- 都ホテル・志摩スペイン村などを再稼働
- 株主還元方針の継続強化
- 安定配当(50円)+優待維持
🎯目標:
- 2024年度営業利益:880億円
- 2028年度営業利益:1,300億円以上(+約48%増)
→構造的に収益性を上げていく戦略で、営業利益率の底上げを目指しています。
🤖“利益率が低い=悪”とは限らない
近鉄の低い営業利益率は、脆弱だからではなく、多角化ゆえの一時的構造的問題です。
鉄道事業はしっかり利益を出しており、問題のある部門(物流・流通)も明確に改革計画が進行中。
以下のような「ギアチェンジ中の企業」として見れば、評価は変わります:
観点 | 内容 |
---|---|
割安度 | PER10.5倍/PBR0.93倍=“株価は割安圏” |
中長期の伸び代 | 営業利益を約1.5倍に引き上げる目標あり |
リスク要因 | 物流事業の再悪化、観光不振、為替変動など |
鉄道セクターの中でも“重い構造”を背負ってきた近鉄は、いま大きな転換期にいます。
その中で、株主優待は安定して維持されており**、
この“過渡期”を楽しめる人にとっては、持ち続ける価値のある銘柄です。
🧭この株主優待+投資が“向く人・向かない人”は誰か?
ここまで読んで、「利回り高くていいじゃん」と思った方もいれば、
「でも、近鉄沿線じゃないし…」「業績ちょっと不安じゃない?」と感じた方もいるはず。
そこで最後に、「この優待株はどんな人に合うか/合わないか」を整理しておきます。
✅向いている人
🟢① 関西圏に縁がある or よく旅行に行く人
- 名古屋〜大阪〜奈良〜伊勢志摩の広範囲をカバーする近鉄電車
- 使えば1枚2,000円超の価値がある乗車券は、活用できる人にとって神コスパ
- 志摩スペイン村や都ホテルズを利用する予定がある人は、冊子割引も◎
🟢② 優待+配当で“利回り7〜8%”を狙いたい人
- 株価下落により、100株で年21,000円相当(配当+優待)
- 高配当株のような安定利回りが魅力
- 「金券ショップやフリマで必要分だけ現金化」も自己責任で選択肢に
🟢③ 多少のリスクを取って“伸び代のある企業”を中長期で持ちたい人
- 現在は構造改革中、でも鉄道事業は健全
- 「中期経営計画が実を結べば、見直し買いもある」フェーズ
- PER10.5倍・PBR0.93倍の割安感もアリ
❌向いていない人
🔴① 近鉄の乗車券も冊子も「一切使わない人」
- 北海道・東北・関東など、近鉄と縁がない地域の人には正直使い道がない
- フリマで売るにしても“若干の手間とリスク”あり
- 優待を使いこなせない=実質利回りゼロに
🔴② 短期トレード・値上がり益狙いの人
- 株価は年初から20%以上下落し、中期的な“再浮上待ち”のフェーズ
- 今後の値動きは物流事業の不透明さにも左右されやすい
- チャートだけ見て入ると“捕まる”リスクもある
🔴③ 完全安定志向の人
- 利回りだけ見れば魅力的だが、業績はまだ不安定な部分が残る
- 営業利益率は業界最下位クラス → 将来改善するかどうかに賭けが必要
- 優待改悪の兆候は今のところないが、“100%安心”とは言い切れない
📝まとめ|「使える人」にとっては、まぎれもない“神優待”
- 利用圏内の人・旅行予定のある人には、利回り7〜8%超の超実用型株主優待
- 今は株価が下がっている分、「仕込みのタイミング」と見ることもできる
- ただし、使わない人・慎重すぎる人にとっては、向かない場面もある
あなた自身が“この優待を活かせるかどうか”が、最大の判断ポイントです。
家計のレジャー費・交通費を浮かせながら、長期で近鉄を応援したい――
そんな人にとって、この株は“持つ意味がある”一枚になるかもしれません。
🚋 鉄道系の人気株主優待まとめ(乗ってお得な4社をピックアップ)
📦 生活がちょっとラクになる!人気の株主優待まとめ
本記事は、下記の公式ページをもとに体験と調査を加えて執筆しています。
▶ 近鉄HDの公式ページを見る※株価・配当金・利回りなどの数値は、2025年6月時点の情報をもとに、Yahoo!ファイナンス・SBI証券・各社IR資料などを参考に筆者が独自に集計・算出したものです。市場の状況により変動するため、実際の投資判断はご自身で最新情報をご確認ください。